ふわっとタイドラマ日記

タイ沼で癒やされているハレのブログ

「The Miracle of Teddy Bear」原作小説の読書感想文(ネタバレ含む)

タイBLドラマ「The Miracle of Teddy Bear」の原作小説の感想をずっと書きたいと思いながら今になりましたが、やっと時間ができたのでこうしてブログを書いています。

「タイドラマ日記」と言いながら、読書感想文を書くのもどうかと思いましたが、ドラマの感想(こちらも見終えてます)を交えて原作小説の素晴らしさを伝えたいと思います。

ネタバレあります。

さてさて、それでは今日もよろしくお願いします。

まずは…

「The Miracle of Teddy Bear」はこんなお話です!(ネタバレあり)

脚本家のナットくんには大事にしている、タオフーという名前のぬいぐるみのテディベアがあるのですが、ある日の朝、誰もいないナットくんの部屋で、そのテディベアに奇跡が起きて、人間の姿になってしまうのです!(物語の後半でどういう奇跡なのか明らかになります)

全裸のタオフーは、ちょっと風変わりなナットくんのお母さん(マタナーさん)に発見されますが、マタナーさんはちょっと風変わりなので疑問も持たず、タオフーは「星の王子様」として受け入れられます。が、家に帰ってきて、見知らぬ人間がいるのに気づいたナットくんは、大騒ぎ。それでもタオフーは懸命に受け入れてもらおうと努力し、そしてやがて家庭のなかに問題があることに気づき、その問題を解決しようと一所懸命に頑張るのですが…。というのが、ざっくりしたあらすじです。

序盤はファンタジーですが、物語が進むとどんどんミステリーに!

タオフーはもともとがぬいぐるみなので、ちょこっと世間知らずなんですが、部屋のさまざまな「物」たちとお話できるのもあり、けっこう常識があると思います。ドラマもそうなんですが、物とお話するタオフーがとても可愛らしくて。物にもそれぞれ個性があって、話し方とかもユニークで、最初は欧米のファンタジー小説を読んでいるかのような錯覚を起こしました。途中から、どんどんミステリーになって、先がすごい気になって気になって、まさかあのひとが…?そうなの…?なんてことだー!!という感じの展開で、細部に張られた伏線が最後の最後まで回収されるのを待っていて、本当に最後のページまで気を抜けない緻密な作品でした。

ドラマでは早い段階から出てくるターン先輩のことも、小説では中盤までわからないですし、ソーンさんとケーンくんの関係も小説ではそんなに詳しく描かれていないので、ドラマも方もとても素晴らしく脚色されていると思います。小説を読みながらドラマを並行して見ていたので、なかなか自分のなかで楽しい体験だったと思います。あ、ネタバレだ、というのがドラマを見ながら、小説を読みながら、同時に感じられるというレアな体験でした。

タオフーとナットくんの関係

タオフーがとにかくいいテディベアで、ちょっと危なっかしいマタナーさんのことをお世話したり、ナットくんを幸せにしようと頑張ったりする。そして最後は自分がどうするべきなのか答えを出す。そこは切なくてどうしようもないのですが、それは読んだ方だけにわかることにしておきたいです。とくにドラマのほうのタオフーはとてもとてもとても可愛くて、さすがテディベアな行動が多くて、本当にドラマの感想はタオフー可愛いばかり叫んでいました。

タオフーは家に来たときから、ずっとナットくんの暮らしを見守ってきて、とてもとてもナットくんのことを大事に思っているし大好きなんですが、ナットくんは人間のタオフーに対して最初から警戒していますし、どう見ても悪い人間には見えないタオフーにもなかなか心を開かないですが、その理由も過去の恋愛の傷があるからだと途中でわかります。タオフーの見た目は何しろナットくん好みのイケメン。地の文でイケメンと書かれているくらいのイケメン。そして中盤で明らかになりますが、タオフーはナットくんの初恋の相手にそっくりなんです!その理由は小説のほうの後半にさらっと書かれていますが、なんて尊い奇跡なんだ、と感動したくらいの尊さです。このタオフーという奇跡。素晴らしいです。

なぜタオフーが家に来たのか、なぜナットくんはタオフーのことを警戒するのか、なぜナットくんは誰にも心を開かないのか、そういうことが徐々に明らかになっていきますが、私はやっぱりそのタオフーが人間になった奇跡の由縁が「願い」だったことがとても胸に響きました。

私はテーラワーダ仏教を勉強しているのですが、誰かの幸せを願うことがとても大事で、自分の親しいひとはもちろん、自分が嫌いな相手にも、幸せでありますように、と願うことがとてもとても重要なのです。だからこそ「願い」が「奇跡」を起こすのがなんというか自分の願いまでも報われたようで嬉しかったです。

ミステリーとしての側面と意思の強さ

この小説では、あ、このひとは味方なんだろうな、と思ってもそうじゃない場合もあるし、逆にきっとこのひとは最後に裏切るんだろうな、と思うようなひとが救いになったりもします。ナットくんの先輩、ターン先輩の襲撃という大きな事件も起こるし、小さな事件もたくさん起こります。ふたつでひとつのスリッパさんの片方が行方不明になったりもします。そのなかで伏線が回収されながら、ナットくんやマタナーさんの過去が明らかになったり、おじさんやおばさんとの関係が明らかになったり、複雑に絡み合った謎が解けていきますが、やっぱり原作者さまが伝えたかったのって、平等、なのかなという気がしました。言葉の端々から意思の強さが感じられますが、とくにナットくんの言葉には感銘を受けるところが多く、ナットくんが「みんなそれぞれ違いはあるけど、平等で、正しいこともなく、間違っていることもない」と語るところでは、心が震えました。これもとても仏教的な言葉で、私はこの言葉の意味を理解するまで、十年以上かかりました。上辺だけじゃなく、本当の平等って難しすぎて、まだ実践はできていないですが、生命の根本的に大事なことなんじゃないでしょうか。自分以外のものを尊重し、かつ自分も尊重する。同等でも卑下でも高慢でもなく、すべてを平等に見る。まず自分から始めないといけない心がけでもあると思います。頑張ります。(なんか変なまとめになりました)

まとめ

ネタバレありと言いながら、あまりネタバレなしで読んでほしくて、なんか文字数多いわりに中途半端な感想になってますが、「The Miracle of Teddy Bear」はとてもとてもとても素晴らしい作品です!U-NEXTでは読み放題で読めますし、紙媒体でも販売中です。現在、ドラマのほうはポイントいりますが、U-NEXTで配信中。

とにかく「タオフーーーーーー!!!!」と叫びたくなるようなラストです!

ぜひぜひ皆様も可愛い可愛い奇跡のくまさんの軌跡をご覧ください!